基本情報技術者試験からCOBOLが消え、Pythonが追加に
独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)はこの度、基本情報技術者試験における出題範囲(の傾向)と、午後試験に設けられるプログラミング試験で採用されるプログラミング言語の見直しをすることを発表しました。
#IPAのプレス発表はこちら。
変更となる点は大きく以下の3つ。
- 午後試験で実施されるプログラミングの試験で用いられるプログラミング言語の変更
- 午後試験の出題数、解答数、配点等の見直し
- 午前試験での数学に関する出題比率の見直し
まずはプログラミング言語の変更から。長らく情報処理試験で採用されていたCOBOLが廃止され、新たにPythonが採用されます。COBOLが廃止される背景には、1)教育機関等における指導言語としての利用の減少、2)本試験における受験者の選択率の極端な低下が挙げられています。一方、代わりにPythonが採用される背景には、1)適用範囲の拡大と利用の増加、2)機械学習やディープラーニングに関わる主要なOSS(オープン・ソース・ソフトウェア)での採用の広がりが挙げられています。早い話が、時流に沿った言語を採択したということになります。
続いて、午後試験の出題数、解答数、配点等の見直し。こちらは、1)選択問題を構成する分野の統合の実施、2)プログラミング能力等を重視し、配点を変更を実施しています。細かい内容はプレス発表を見てもらうとして、内容的には、よりプログラム開発者を育成する方向へ向けた変更になった感じですかね。ストラテジ分野とマネジメント分野を統合して、出題数を減らしています。
最後に午前試験における数学に関する出題比率の見直し。こちらは、理数能力を重視し、線形代数、確率・統計等、数学に関する出題比率を向上させています。こちらは機械学習やディープラーニングなどのAI開発関連に注力するためですかね。
今回の見直し内容の実施は、1.と2.は2020年度試験から、3.は2019年秋期試験からとなります。
今回の変更内容を見ると、基本情報技術者試験の目指すところは、高度なプログラマの育成と言ったところですかね。ソフトウェア開発に関する全般的なところは応用情報技術者試験の方に任せるみたいな感じですね。
世の中の情勢は年々変わっていますから、その時流に合わせて、試験内容を見直すことは必要だと思いますが、プログラミング言語からCOBOLが消えたのは驚きでしたね。まあ、廃止されて已む無しと言った状況ではありましたが、このタイミング(勤労統計問題の原因がCOBOLで書かれたプログラムのバグと発表されての)での廃止というのは、「COBOLは特殊な言語」と言う印象を強く与えないかなぁ。
まあ、COBOLは「COmmon Business Oriented Language」の略で、商用利用に特化した言語でありますので、ある意味、特殊と言えば特殊ですが(しかも環境依存もありますし)、そんなに難しい言語ではないんですよね(まあ、他の汎用言語に比べれば癖のあるところもありますが)。
COBOLのように、特定分野に特化した言語ではなく、汎用言語を選ぶという選択はいいのですが、なぜPythonなのかというのもね。どうにも、AIエンジニアを育てたいという偏重的な意思が見えて「それはどうなの?」と思えるところもありますね。確かに育てるのは急務ではありますが、国家資格の技術者の選定試験にそれを持ち込むのは…(しかも、基本情報技術者試験でだよ)。どうしてもAIエンジニアを育てたいのなら、別途、試験区分を設ければいいと思うんだが(どう考えても、「基本」の範疇を超えるし)。
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